マッシュアップの作り方【第四回:作り方その2:声ネタ、オケの調整】

こんにちは、HIMAGOです。

前回に引き続き、今回もマッシュアップの作り方についてお話していきます。

今回は、DAWでの作業における声ネタやオケの調整についてです。

 

第一回:マッシュアップの作り方【第一回:マッシュアップとは何か/用意するもの】 - HIMAGOのブログ

第二回:マッシュアップの作り方【第二回:組み合わせの決め方】 - HIMAGOのブログ

第三回:マッシュアップの作り方【第三回:作り方その1:ボーカル用音源とオケ用音源を混ぜる】 - HIMAGOのブログ

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第五回:マッシュアップの作り方【第五回:20~30曲混ぜるマッシュアップの作り方】 - HIMAGOのブログ

 

第三回の記事で紹介しました『スパっと!スパイ&スパイス × 新宝島』は、そこまで苦労せず重ねることが出来ましたが、キーや雰囲気はバッチリなはずなのに曲の構成上どうしても上手く重ならないような場合もあります。

今回は、そのような上手く重ならないパターンについて対応方法をまとめていきます。

※前回の記事ではFL Studio 20を使用しましたが、今回の記事では使い慣れたcubase7.5での説明となります。

 

◆サビ前のオケが歌より短い場合

アニソンの場合、サビ前で2~4小節ほど歌が余ることがよくあります。その時の対応方法は2通りあります。

 

①声をカット

思い切ってカットします。勢いのある曲の場合はこのパターンで誤魔化せると思います。

例:Daydream cafe × Cosmic Cat

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サビ前の歌をがっつりカットしています。カット部分をサビと少し被せ、2つが同時に鳴る瞬間を作ることでカットした違和感を少しでも減らすようにしています。

 

例: 今宵mofumofu!! × 5G

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こちらの例では、下記図のようにサビ前でオケ(一番上のトラック)を無音にし、歌にtapestopをかけて一気に雰囲気を変えています。(上記0:47の音が落ちているところ)

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cubaseにはLoopMash FXというエフェクトが付いており、tapestopやbackspinなどのFXを簡単にかけることが出来ますので非常に便利です。

 

②オケを伸ばす

もし歌をカットすると雰囲気が損なわれる場合は、オケを伸ばします。

例:エブリデイワールド(-Ballade Arrange-Yui Solo Ver.) × ドリームCastle

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この時は、1番サビ前の歌が2小節余ってしまいましたが歌は雰囲気的にカット出来ないので、オケのサビに入る直前の1小節を2回コピーしました。また、繰り返し時の違和感を少なくするため、オケにtapestopをかけました。(上記曲0:32あたりのドューンって鳴っているところ)

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◆サビ前のオケが歌よりも長い場合

オケ側の構成上、尺が余ってしまうこともよくあります。その場合の対応方法は3通りあります。


①オケをカットする

思い切ってがっつりカットしましょう。

例:Trap of Love × Friends

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こちらのマッシュアップですが、オケに使用しました楽曲は下記曲で、2番の展開にオケの尺が合わなかったので1:56~2:26をカットしました。

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②そのまま何もしない

例: 今宵mofumofu!! × 5G(1;18あたり)

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1;18あたりのパートからは特に何も重ねずそのままにしています。

 

カットアップを足して埋める

 

例:lucky train! × LUCKY DUCKY!! (0:41あたり)

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カットアップを足す、と言うと難しい印象がありますが、この様に歌の最後のフレーズだけを切り取ってオケに合うようリズムを刻むだけでも十分かっこよくなります。

 

 

◆その他の部分でオケの尺が余っている場合

イントロや1番と2番の間、アウトロにて尺が余っている場合は、そのまま何もしない以外に下記3通りの対応方法があります。

 

①特徴的なフレーズを繰り返す

歌から繰り返し流しても違和感ない特徴的なフレーズを流して隙間を埋めます。

例:6cm上の景色 × Aurora(1番サビ後、アウトロにchi chick…を繰り返す)

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②セリフを足す

その歌のキャラに合うセリフを隙間で足すと良い感じになります。

例:Trap of Love × OPEN YOUR HEART

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2:56からがセリフを足している部分で、最初は心を閉ざしていたけど徐々に心が開いていく様子が分かるセリフを選びました。また、セリフが後半になるにつれてBitCrusherという音源を歪んだ感じにするエフェクトを強くかけて、紫吹蘭さんの精一杯感を出しました。BitCrusherも、LoopMash FXと同様でcubaseに標準で付いているので非常に便利です。

 

カットアップを足す

例:サマー☆マジック × Luv sick reat. ina

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イントロ部分で、「潮風が」の「が」をリズムよくカットしています。あまり難しいことは考えず言葉の最後のフレーズを切り取ってリズムよく並べただけですが、十分良い感じです。

 

例:恋愛サーキュレーション × Perfume

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こちらは、先ほどまでの例よりもかなり技術がいる曲です。1:23から「ずっとずっと」の「と」を切り取って、リズムよく並べてかつオケに合うようピッチも調整しています。

また、この曲はカットアップ以外にも注目すべきポイントがあります。それは0:11で「もっともっと」という部分を左右にパンを振って徐々に音量を大きくしていくところで、これから曲が始まる感を強く演出しているところが非常に上手です。

このようにパンを振る演出は、サビ前の尺余り部分にも使えるので是非やってみてください。

 

例:CAND¥¥¥LAND Feat. LIZ (Pa's Lam System Remix) × カレンダーガール × ヒラリ/ヒトリ/キラリ

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このマッシュアップは、2:37からのカットアップがとてもかっこいいです。こちらは先ほどまでとは異なり、歌を一旦オケにそのまま乗せた後、曲に合わせて全体的にカットしています。一部分だけをカットするのとはまた違った難しさがありますが、しっかりハマればすごく気持ちいいです。

 

 

◆オケ、歌ともに尺が合わない場合

 

例:秘密のトワレ × From Your Eyes

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この組み合わせの様に、すごく合っているけど歌の構成がマッシュアップ向きでなかったりオケの尺が長い場合は、どちらもカットしましょう。今回の例の場合、下記のようになりました。歌、オケともにがっつりカットしています。

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◆曲が転調している場合

前半はすごく合っているのに、ラスサビが何か違和感あるな~という場合は、オケもしくは歌が転調している可能性があります。

 

①ラスサビで歌が転調している場合

転調している部分と歌詞が同じ1番 or 2番のところを流用するか、歌のキーを変えます。

 

②オケが転調している場合

歌のキーを合わせて変えるか、オケのキーを変えます。オケのキーを変える場合は、下記の様にすることをオススメします。

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このように、オケの音源をちょっとだけ被せてフェードイン/フェードアウトをさせると、スムーズに切り替わっているように聞こえます。フェードインさせないと音が飛んで聞こえる可能性が高いので、是非試してみましょう。キーを変える時だけでなく、尺余りでオケをカットする場合にもこのテクニックは使えるのでオススメです。

 

 

以上が声ネタ、オケの調整になります。

これ以外にもこんな感じの調整方法があるよ!とか、こういう場合にどうしたら良いか分からない…というものがあればコメントして頂けると助かります。

 

次回で最終回となりますが、最後はこれまでとは趣向を変えて、20~30曲混ぜるマッシュアップの作り方についてお話していきます。