マッシュアップの作り方【第三回:作り方その1:ボーカル用音源とオケ用音源を混ぜる】

こんにちは、HIMAGOです。

前回に引き続き、今回もマッシュアップの作り方についてお話していきます。

今回は、いよいよDAWでの作業に移ります。

 

第一回:マッシュアップの作り方【第一回:マッシュアップとは何か/用意するもの】 - HIMAGOのブログ

第二回:マッシュアップの作り方【第二回:組み合わせの決め方】 - HIMAGOのブログ

第三回:作り方その1・ボーカル用音源とオケ用音源を混ぜる ←いまここ
第四回:マッシュアップの作り方【第四回:作り方その2:声ネタ、オケの調整】 - HIMAGOのブログ

第五回:マッシュアップの作り方【第五回:20~30曲混ぜるマッシュアップの作り方】 - HIMAGOのブログ


◆前置き
今回は、第一回の記事でも紹介しました『スパッと!スパイ&スパイス × 新宝島』を制作してみます。
DAWについては、私は普段cubaseを使用して制作していますが今回は無料で使用できるFL Studioのデモ版を使って説明していきます。
※キーの考え方やDAWでの作業について、独自の解釈の部分が多々ありますので、あくまで一例として参考にしてください。

◆キーについて
第二回の記事にてご説明しました様な組み合わせを思いついたら、次はキーが合うかどうかを確認します。
キーの確認方法はいくつかあると思いますが、今回はrekordboxを使用します。

まず、実際にキーの解析を行う前に、マッシュアップにおけるキーの考え方についてお話します。

マッシュアップを制作する際には、こちらの五度圏の図を用います。
f:id:HIMAGO:20190817155410p:plain※画像はsleepfreaks様の下記記事よりお借り致しました。

sleepfreaks-dtm.com

 

この五度圏は、各長調における使用可能な音が同じ短調を示しています。(CであればAm、FであればDmは使用可能な音が同じとなります。)

また、隣り合っているキーは使用可能な音が近いことも示しています。

細かい説明は、第一回でもご紹介しましたDJ OWTNさんの下記記事が参考になります。

o-w-t-n.hatenablog.com


マッシュアップにおけるキーのパターンは下記の3つとなります。

①キーが一致
特にキーを変更する必要はありません。例えばオケがCの場合、歌がCもしくはAmであればそのまま重ねて問題ありません。

②五度圏上でキーが隣同士
キーが一致していなくても、歌とオケのキーが五度圏上で隣同士の場合は、キーを変更しなくても違和感なく合う可能性が高いです。

例えばオケがCもしくはAmの場合、歌がF、G、Dm、Emであればその関係になります。
このパターンの場合はあくまで合う可能性が高いだけなので、実際に重ねてみて違和感が大きい場合はボツにしましょう。


③歌とオケのキーが±1のズレ
例えばオケがCの場合、歌がC#かBの時を指します。この時は歌かオケのキーを上げ下げして合わせてあげます。
個人的には、オケ側のキーを調整する事が多いです。
(オケがC、歌がC#の場合はオケを+1してC#にする)

±2や3の場合でも同様に変更して合わせることが可能ですが、あまり無理に変更しすぎると音質が歪になりますので、変更してみて違和感が大きい場合はボツにしましょう。

BPMについて
マッシュアップにおけるBPMのパターンは2通りあります。

BPMが一致
変更する必要はありません。

BPMがズレている
歌かオケのどちらかにBPMを合わせます。
私の場合はオケ側のBPMを基準とし歌のBPMを変更する場合が多いですが、分からない場合は歌とオケのどちらも基準にしてみて、良さげな方を採用してください。

 

また、BPMはどこまでズレていていいかですが、私としてはどんなにズレていても良いと思います。実際、私はオケが歌より30~60くらい速くて、歌を早回しにする組み合わせがすごく好きでよくやります。

例:アイデンティティ × Pichi Pichi☆Paradise!(アイデンティティが145、Pichi Pichi☆Paradise!が173と28もズレていますが、何か良い感じにマッチしています。)

soundcloud.com

例:今宵mofumofu!! × 5G(今宵mofumofu!!が103、5Gが160と57もズレていますが、何故か良い感じです。)

soundcloud.com


◆rekordboxでの解析
rekordboxに楽曲を読み込ませると、この様にBPMとキーが表示されます。

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今回の例で言うと新宝島Gmでスパッと!スパイ&スパイスがCmとなり、キーは違いますが先ほどのキーの説明にてありました『パターン②五度圏上でキーが隣同士』となりますので、一先ずはOKとします。

(rekordboxによるキーの解析は間違っている可能性があるため、ここでの解析結果はあくまで参考とし、実際に重ねてみて違和感がないかを重視するようにしてください。)

また、BPMについては、オケのBPMが158に対し歌のBPMが160とキリが良いので、160とします。

DAWでの作業

ここからは私が実際に作業した時の流れになります。おそらくFLを普段より使用している方から見れば変な操作をしている可能性がありますが、その際はコメントで教えて頂けると助かります。

※windows10、FL Studio 20での作業となります。


①音源をDAWに取り込み

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②音源のトラック割り当て

音源をダブリクリックするとウィンドウが出てくるので、右上のTRACKにトラック番号を割り当てます。(今回はオケを1、歌を2としました。)

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③プロジェクトのBPMを入力
DAWの上部にあるBPMを130から160に変更します。

④歌とオケのBPMを入力

音源の名前の隣にある小さい波形をクリックし、表示されるタブから『Fit to tempo』をクリック。

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すると、下記画面が表示されるので、Type in (BPM)をクリックし、その楽曲の元のBPMを入力します。

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※このBPMの変更が分かりにくい場合は、UGchannel様の説明動画が参考になります。

www.youtube.com


⑤歌とオケの音量調整

②で割り当てたトラックの音量を調整。私は-10~-8dBくらいの間で丁度良い感じに混ざって聴こえるよう調整します。オケより歌の方が音量が若干大きくなるようにすると良い感じになると思います。

この時、マスターの音量は操作しないようにしてください。

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⑥音源の位置合わせ

オケ音源の1拍目とDAW上の1拍目が合うように調整。Aメロの入り部分は波形が分かりやすいので、ここで位置を調整すると楽です。

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⑦歌をカットしたりする
オケの位置を調整した後は、そこに合うように歌を乗せていきます。乗せる中で尺余りしたりする場合は、音源をカットして調整していきます。

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今回の制作では、最終的にこんな感じになりました。

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⑧エフェクトの挿入

歌側は低音のEQをがっつりカットします。

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もし歌がオケに混ざっていないように感じる場合はリバーブを薄っすらかけてみると良いかもしれません。

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オケ側は歌と被るポイントのEQをちょっとだけ削ります。(正直これはやってもやらなくても良いです。)

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マスターにはマキシマイザーを刺しておきます。『Clear master RMS』というマスタリング用っぽいプリセットがあったので選択します。

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※エフェクト挿し方について分かりにくい場合は、sleepfreaks様のこちらの記事が参考になります。
sleepfreaks-dtm.com


マスタリングですが、オリジナル曲やremixの場合は色々と頑張る必要がありますが、マッシュアップの場合はマキシマイザーを刺すくらいで、正直そんなに頑張る必要は無いと思います。色々触ってみて「もっとこうしたい!」と感じてから色々調べてみるくらいで充分だと思います。

⑨音源の書き出し
wavやmp3などの形式を選択し、書き出しを行います。
こちらについても、sleepfreaks様の下記記事が参考になります。
sleepfreaks-dtm.com


以上の工程を経て制作したFL版の音源が下記となります。

soundcloud.com


如何でしょう。FLは初めて使用するDAWで、細かい調整についてはやり方が分からず大まかな調整となりましたが、それでも第一回の記事にて紹介しましたcubaseでの音源(下記音源)と大きく見劣りすることなく制作出来ました。

soundcloud.com


次回は、オケを切り貼りしたりカットアップをする場合についてお話していきます。