シャニマスのイベコミュ『YOUR/MY Love letter』の感想

こんにちは、HIMAGOです。

 

皆さんはプレイしていますか、アイドルマスターシャイニーカラーズ。今は丁度4周年の時期ということもあり、運営が色々なイベント・企画を展開していて、それらをきっかけに遊び始めた方も多いかと思います。

そんな様々な告知を見た新規の方々や、久々に遊んでみようかなという方々も多いであろう4周年のタイミングで、イベコミュ『YOUR/MY Love letter』が公開されました。

今回は、そのイベコミュ『YOUR/MY Love letter』についての感想を書きたいと思います。

 

※これより以下は『YOUR/MY Love letter』のネタバレを含みます。未読の方はブラウザバック推奨です。

 

 

 

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本当に凄いイベコミュでした。「薄桃色を読め」や「チエルアルコを読め」といった感じの推奨コメントがまだ視界に入らない状態で、このコミュを読めて本当に良かった。(それらが悪いという訳ではなく、個人的にそれらがあると「このコミュはそんなに重要なのか…」という変な身構えをしてしまうため。)

私は普段は放クラPで、このイベコミュに出てくる過去からの引用について完全に把握しきれていないため、今回は過去からの絡みによる考察は少なめにし、純粋なコミュの感想を書いていきたいと思います。

 

 

①オープニング『I am.』

旅館のWebサイトの予約システムの開発依頼を受け、予約システムだけでなくリニューアルを提案する男女の会社員と女将のやりとりが冒頭から描かれています。旅館の女将が会社員の二人のうち、女性の方が先輩なのに後輩の男性の方に話を振るのはよくある感じですね。視覚から得られる情報で属性を判断されることは生きているとどうしても避けられない現象ですが、そういう日常のモヤっとするやりとりをシャニマスで切り取ってくるとは思っていなかったので意外でした。

そして、その後女性が帰宅しテレビを付けたところアルストロメリアが登場しますが、この女性がアルストロメリアをあまり詳しく知らないことから、この先アルストロメリアのファンになっていくのかな~とか、何かの伏線キャラになっていくのかな~と甘く考えていました。

f:id:HIMAGO:20220404222428p:plainこの演出が出た時、姿勢を正しました。あ、今回のコミュは現実の生活を描こうとしているのだ、と。そしてアルストロメリアの立ち絵が登場することなくオープニグが終了します。

4周年で新規の人が入ってきやすいタイミングのイベコミュの一発目を、アイドルの立ち絵を一切出さずにモブの語りで終わらせるの、気概がバチバチに感じられてとても最高です。

 

 

②1話『song for Someone』

1話では19歳のコンビニでバイトをする大学生と17歳の女子高生、シャニPがオープニングと同様な演出で紹介されました。

日常に疲弊したり悩みを抱えている人たちに焦点を当てる感じで、そこからどう展開させるんだろう…と思っていた時にシャニPの紹介が出てきてめちゃくちゃビックリしました。それは、シャニPにはオープニングで出た女性や1話の他の2人みたいなモブの性質を感じていなかったからです。

ですが、シャニPがテレビ局部長から密着取材のオファーをされ、「あなたも脚光を浴びていい。主役になれるんだ。」と言われた時に、そりゃこっちの視点からしたらアイドルとの絡みからシャニPの人間性バチバチに感じているけども、世間から見たら名前が無いただのモブだよなぁと気が付きました。

 

 

③2話『voice for Someone』、3話『color for Someone』

2話では、高校教師の女性と甜花が新しく登場します。ここら辺からどんどんキャラの深掘りに入っていきますが、オープニングにあった先輩なのに女性というだけで部下だと思われて話を振られないみたいな感じで、主に属性や役職についての悩みが取り上げられているなと感じました。

高校教師の女性は、学校生活から離れたオフの時間でも生徒から見たら四六時中ずっと先生なんだと考えさせられます。これは後から見直して気が付きましたが、先生と遭遇した生徒が「あっ、映画始まっちゃう」というところ、伏線が丁寧すぎるわ…と感動しました。

 

ディレクターの女性は、仕事を任せられるようになったのに体調不良に襲われ、今抱えている旅館のWebのリニューアルのために頑張ろうとしているものの、結局他の人にカバーしてもらったため、最初から自分が無理する必要は無かったと虚しくなってしまいます。

コレ、生きているとめちゃくちゃありますよね。自分の視点からすると私がやらなきゃ誰がやる、という感じになりますが、意外と他の人から見ると全然サポートできる体制になっているので自分だけが焦っていること、本当にあるあるです。その人が居ない状況でも何とか頑張っていく、という当たり前のことをやっただけですが、体調不良等でメンタルが不安定になると、「自分なんて居なくてもいいんだ…自分の価値は…」と受け取ってしまいます。

 

また、甜花の紹介でも他の人たちと同じように『17歳 高校生 アイドル』と社会的な属性だけを表示するのも、改めて見直してみて上手い表現だと思いました。Catch the shiny tailでのシャニPの「みんな特別だし、みんな普通の女の子だ」という台詞を思い出すような表現です。

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④4話『off stage』

4話では59歳の会社員の男性、千雪、甘奈が登場します。

59歳の男性がアイドルのCDを買うのに頭の中で言い訳のような葛藤を繰り返すの、とても分かります。私が初めて買ったアイドルのCDは『Perfume 〜Complete Best〜』で、Perfumeは今でこそ老若男女問わず世界中で大人気で、好きなアーティストは?というありきたりな質問にて名前を出しても上手く会話が回るようなグループですが、まだこのCDがリリースされた当時はアイドルっぽさが残っており、当時高校生だった私は曲に惹かれたもののCDを買う時に周りから「こいつドルオタかよ…」と思われてしまうのかという恐怖心が強くありました。

大学生になってからも、さくら学院や、その派生ユニットであるTwinklestarsなどのアイドルのCDを買う時には毎回同じように緊張しました。今はもう通販やitunesで音源を買うのでそんな緊張とも無縁ですが、おそらくCDショップで買うとなると、今でも当時と全く同じ緊張感を体験することになるだろうなと思います。

 

また、千雪の場面では、番組の新しいスタッフが、自身も素晴らしい出来になったと思っているMVに携わっていたスタッフだということを忘れ、初対面だと思い込んで挨拶することがありましたが、これもあるあるですね。自分が日常でこういうのを体験すると、自分なんか他人にとって取るに足らない人間なんだなと思ってしまいます。実際はそんなことないのに、3話のディレクターの女性の様にメンタルが不調だとそういう方向性に舵を切ってしまいます。記念すべき4周年なのに、日常で心にしこりがのこる描写を立て続けに浴びせてくるアイドルゲームがあっていいのか?

 

 

⑤5話『good night』

個人的にかなりグッと来たのは、テレビ番組にて、体調不良の甘奈に代わって甜花が出演した時に、甘奈のコーナーを代わりにやってくれと言われて「甜花、なーちゃんの代わりは…できない、から…」と断り、それに対してディレクターの女性が「あなたじゃないと駄目と言ってもらえて…いいなぁ…」となる場面です。

 

3話で仕事の埋め合わせの話が出ましたが、この5話でも同じようなことが起きています。甜花が「なーちゃんの代わりは出来ない」と言っているため、甘奈には甘奈の、甜花には甜花の替えの効かない仕事があるという印象が強くなっていますが、社会の歯車的な観点だと、「体調不良の甘奈の代わりに甜花が出演した」という事実が、甘奈の代わりとして甜花が歯車となって活躍したということを表しています。

「甘奈のコーナー」を甜花がやるのは出来ませんが、「甘奈に充てられた時間を誰かが埋めること」なら甜花は出来ます。そういう応用の効かせ方が、誰かがいなくても何となく世界が上手く回っていっている秘訣なんだろうなと思います。

ディレクターの女性の場合だと、旅館の人への提案資料を作ったり受注したりすること自体は他の人でも出来ましたが、一人でも提案し受注に持って行けるような後輩を育てることは、その女性でないと出来なかったかもしれません。もしかしたら、オープニングでの褒める言葉やアドバイスがあったからこそ、後輩が成長し受注という結果に結びついたかもしれません。そうであったら、きっと後輩にとっては、営業の女性こそが「自分を育ててくれた、ほかの人では代わりが出来ない人」という風に感じたことでしょう。

けど、やっぱり甜花のように言葉にして代わりがいないことを伝えてくれないと、想っているだけでは届かないですよね。そういう気持ちを伝えること、単純だけど本当に難しいです。

 

 

⑥6話『present』

さて、大問題の6話です。これまでの登場人物たちの輪郭がハッキリとする話です。父親にとって娘は代わりの出来ない大切な存在だと想いを伝える場面、本当に素晴らしいですね。あの演出が来た時、最高すぎてポロポロと泣いてしまいました。

演出の直前に、千雪が「ファンのみなさんやスタッフのみなさんとか、よく使ってしまうんですけど、本当はひとりひとりいるんですよね、その言葉の中に。」と言っていますが、これは今の時代に刺さりまくった言葉だなと思います。

 

最近はよくyoutubeで配信者の放送を見る機会も増えておりますが、一部のリスナーの悪い文化として視聴者数煽りというものが存在します。これは視聴者2ケタだの3ケタだのと数の大小で優劣を比較するもので、本当に悪い文化だと思います。じゃあ数が多ければそれで良いのかと言われると内心分からないもので、自分がよく見る配信者はいつも1000~2000人程度が視聴していますが、自分はその何千人分の1なのかと、ふと考えてしまいます。そんな何千人もいる視聴者の中には、有名な絵師だったり切り抜き師もいたりするので、そんな人と比べると基本的にロム専に徹している自分は名前もない何かちっぽけな存在だなぁと思ってしまいます。

ですが、先日そんな自分がよく見る配信者が、クラウドファンディングの支援者向けにライブを実施し、そのライブの最後に支援者の名前が全員出るという演出がありました。その支援者の名前がスクロールされていく時に、私はボロ泣きしてしまいました。視聴者数というただの数字では実感できなかったもの、自分の様に普段はコメントせずにロム専で見ていた人達がはっきりと可視化され、この人はこんな大勢の人たちに支援されているんだという実感が心の底から湧きました。そういう人の輪郭が見える瞬間というのは、凡庸な言葉ですがエモいなぁと思います。

また、配信者でエモと言えば、にじさんじに所属されている卯月コウさんの配信にも、千雪が感じたことをクリアにした、「視聴者にスパナ渡して直接コミュニケーションを取る」というものがあります。これも、ただのファンというひとまとめの存在に対して人物の輪郭をはっきりとさせる凄い配信でした。

 

視聴者にスパナ渡して直接コミュニケーション取る枠【にじさんじ/卯月コウ】

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あと、今回のコミュは「あなたの隣の人に、想いを伝えてください」ということがメッセージだと受け取りましたが、この内容を受けてシャニマス運営の考え方が少し理解出来た気がします。

少し前に、シャニマスのアンケートがキモすぎて炎上wwwというものが話題になりました。内容としては、アンケートの中にあった「ファンはこの作品を広める責任がある」というものが、一ファンに対して課すようなものではないからだと受け取られたからでした。ただ、今回のコミュを通じて改めて考えてみると、言葉の選び方が良くなかっただけで、言いたいこととしては「この作品をあなたの友人とのコミュニケーションの活性化に役立てて欲しい。新しい輪を広めて欲しい。」というものだったのかなと思います。

良いものを体験した時、人はその感動を誰かに伝えたくなります。今の時代だとSNSで感想を書いたり、時には身近な人に伝えたりすることになるのかなと思います。その活動を積極的に行って欲しい。自分たちのコンテンツを通じて、誰かと話をして欲しい。そんな想いが、例のアンケートの意図だったのかなと考えます。

ただ、それを実現するためには、それをさせるだけの衝撃をユーザーに感じさせる必要があることから、ライターのプレッシャーは本当に想像を絶するものだなと思いますが、毎回凄いものを読ませてくれるので何かしらの賞をはよ与えてあげてくれや…の気持ちになります。

 

 

⑦エンディング『You are.』

学校の先生と生徒が、アルストロメリアの出演するライブでばったり遭遇する場面。ここのやりとり、良いですよね。二人とも甘奈推しということで、ライブの後は映画の話でも盛り上がったのかなと思います。こうしてアルストロメリアが二人を繋げる架け橋になったこと、ジーンと感動がこみ上げてきます。

 

また、個人的に一番泣いたのが、一番最後のシーンです。

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コミュに出てきたコンビニ店員である銀之介くんのお店に甘奈が訪れたシーンで、甘奈の会話の色がいつもとは違う緑で、名前が「高校生くらいの子」になっているのを見た瞬間、声が出てそのまま号泣してしまいました。

そうだよなぁ。自分が知らなかったら、いくら有名な人でも知らない人という括りになるもんなぁ。自分が主役の世界では、自分が知らない有名人はただのモブ。オープニングから人物像を丁寧に描いてきて、6話での名前を出したことによる盛り上がりを通じてのこのエンディングは、もう感情が抑えられませんでした。

最後の最後に甘奈に気が付くかと思いきや気が付かないのも、また最高のオチです。きっと銀之介くんには、アルストロメリアではなく別の他者との交流の橋があるかもしれませんし、この先いつかアルストロメリアが橋になる日が来るのかもしれません。

 

 

⑧全体を通した感想

・YOUR/MY Love letter、掛け値なしに素晴らしいコミュだったと思います。このコミュ自体は、まだシャニマスのことがよく分かっていない初心者が一番最初に見ても十分に楽しめるものだと思いますが、これがシャニマスの平均的なコミュなのかなと勘違いする可能性がありそうなのが唯一の心配ですね。(私はローポジが初めて見たtrueで、これが平均なのかなと思ってしまい、以降しばらく他のtrueを見ても物足りなさを感じる状態に陥ってしまいました。)

 

・コミュの中で登場したものの名前が出なかったアシスタントの人も、カードコミュにてフォローがあって満足でした。一人前になった時に名前を知ってもらいたいという気持ち、よく分かります。

 

アルストロメリアのコミュは最近ずっと面白いけどその分ヘビーな内容が続いているので、ここら辺で一回楽しいコミュも描いてあげてよ…という気持ちも心のどこかであります。どんどんヘビーなのヘビーなのをとを心が求めてしまう前に、一泊二日で温泉旅行にでも行って地元の人と心通わすほっこりコミュや、合唱コンクールとか演奏会に密着取材するような楽しいコミュもイベントで描いて欲しいですね。

 

・6話の演出が出た時からずっと「これ、ユーザーの名前が出るやつか…?」とヒヤヒヤしていましたが、結局最後までそんなことは無く終わったので完全な杞憂でした。ゲームのmotherだとめちゃくちゃテンションが上がったものの、こういうコミュで自分の名前が出ると何か冷めるなと思ってしまいますが、そこにどんな違いがあるのか自分の中での理解が難しいです。

 

 

最後に、このコミュを見て心に浮かんだ一曲である、空気公団『暮らし』でお別れしようと思います。

youtu.be

 

以上です。ここまで読んで頂き、ありがとうございました。